Masuk26.
ここまでのあらすじ
ウェイトレスのヤシロ、絞りの尾崎、裏メン新田、元プロ工藤、おじいちゃんオーナー日吉、プロの姉である蘭、そして最強雀士のコテツ。行く先々で強い奴らに出会い椎名は経験を積んでいく。
強者たちの麻雀を吸収して闇メンとしてさらに強く逞しく成長していく椎名だった。
【登場人物紹介】
椎名良祐
しいなりょうすけ
主人公。礼儀正しく清潔で爽やかな青年。堅苦しい性格ではなく、場面場面での使い分けが上手いだけ。基本的には気さくな人間である。渡邉クリエイター派遣会社社員。
渡邉二郎
わたなべじろう
椎名の勤務する会社を設立した社長。人を見る目があり一目でその人の人となりを見極める。麻雀はそんなに上手くはない。
福島社
ふくしまやしろ
表の顔は喫茶店の気さくで優しい美人ウェイトレス。しかし、ひとたび卓に着くと人が変わる。知る人ぞ知る凄腕雀士。勝つためにはあまり手段を選ばない。勝利こそ正義という女性には珍しいタイプ。
福島創
ふくしまそう
喫茶店『えにし』の二代目マスターでヤシロの父。アイスコーヒーを美味しく淹れる名人。麻雀の腕もプロ顔負けの超一流。
尾崎洋平
おざきようへい
勝田台周辺の雀荘で遊んでいる遊び人。毎日遊んでいるが本業は会社経営者。絞りを得意とし、下家を絞り殺すのが趣味という我慢強い打ち手。
工藤強
くどうつよし
元競技麻雀プロの雀ゴロ。面倒見がよくプロをやめた今でも弟子が多い。スキンヘッドで見た目は怖い。
神戸蘭
かんべらん
麻雀プロの姉。直感力に優れた麻雀を打ち、罠に引っかかることがほとんど無い。椎名のことを気に入ったらしい。
南上虎徹
なんじょうこてつ
最強クラスの麻雀打ち。色々な雀荘にふらっと現れてはバカ勝ちして帰る男。ネット上で戦術を書いて無料公開している『ライジン』というアカウントと同一人物か?
その5
第一話 本物の強者
今日もまた『ラッキーボーイ』に出勤だ。最近はずっと西船橋のこの『ラッキーボーイ』への出勤ばかりだ。はっきり言って闇メンを雇うのは安くないから(会社に行くお金がいくらなのかは知らないが闇メン本人への時給1000円以外にもお金がかかっているのは確かだ)そんな事するよりは普通の従業員を募集すれば? と思うが、気に入ってくれたのならそれは嬉しいことだ。
出勤してしばらくすると今日も工藤ツヨシが来店した。先日は旗色悪しとみるや勝ちが溶ける前に退散した工藤だったが今日の戦いはどうなるだろうか。
「やあ、工藤さん。今日はたくさん打てるのかい?」
「椎名くんか。今日は一日中暇なんだ。飽きるまでやろうじゃないか」
お客さんも来たのでゲーム開始
東家 一般客
南家 工藤
西家 椎名
北家 従業員
工藤と椎名は工藤の下家に椎名という座順だったのでマスターはその間に椅子を引っ張ってきてベストポジションで観戦していた。
そこで見て初めて分かる、椎名の麻雀の精密さ。
(これは強すぎる)マスターはそう思ったという。
椎名は別に連勝はしてなかった。しかし、必ずオーラスのトップ争いに参戦しており圏外に落ちたりしない安定した強さを見せつけた。
一方、工藤はラスだけは取らないようにしようという考えが見て取れる仕掛けやダマが多くそこに椎名と工藤の差が現れていた。
工藤のような強さも確かに厄介だが本物の強者はどんな困難も乗り越えてNo. 1を目指すものだ。そんな力強い麻雀を見せてくれるのは、椎名だった。
そして、この手
椎名手牌 ドラ4
四伍六②②③③③34(888)
この局に椎名と工藤の格付けが済んだなと感じた決定的な瞬間をマスターは目撃する。
椎名の捨て牌には5巡目に伍萬が捨ててある7巡目。ここに椎名は伍萬を引いてきて手の内にある方の伍萬と交換した。
そして親の工藤は三萬を引いてくる。
工藤手牌
②③⑤⑥⑥⑦789東東南南 三ツモ
(三萬は、切れない……。5巡目に一度手から伍萬を出している椎名がさらにもう一度手から伍萬。一度目はテンパイしたから。二度目は赤伍萬を引いたから交換したと考えるのが妥当だ。だとしたらそこの跨ぎ牌はド本命だ。止めるしかないな)と三萬を止めて一旦狭く構える工藤。
(ピンズ上は育ちそうだったんだがな……)
打⑥
すると工藤の次のツモは七萬。
(同じ理屈でこれもムリだ。どちらかは当たる。どちらかは通るが、どちらかは当たる。どうする。南場の親だが……)
「すいません……」
長考に入る工藤。どちらかを押さないとトップは取れない。それは分かるが、どちらも椎名の本命に見える。
(……怖い。放銃や点数がということじゃなくて。これ以上ラスになったら。今日もまた椎名に負けるとしたら。いよいよプライドが砕かれる気がして…… 押せない――)
打東
工藤はどちらも押せないとし諦めたのだ。椎名の伍萬の空切りによって。
「ツモ! ゴットー!」
(嵌められた! まさか黒から黒の空切りで本命牌を作り出すとは…… とんでもないな)
この日この局を境に工藤と椎名の決着がついたと、マスターと工藤本人は感じてしまったという。椎名はそんなことは微塵も感じていなかったのだが。知らない所で他人を倒して、格付けを済ませている。天才とはえてしてそういうものなのであった。
118.第四話 ゴチソウサマデシタ「フゥ、おいしかったぁー」 魔力丼はどこからどう見ても牛丼だった。いや、牛かどうかは分からないけど、味は牛に似てた。つまり、とても美味しい。「ごちそうさまでした!」「スノウ、気になってたんですが『ゴチソウサマデシタ』って何でスカ?」「うん?『ごちそうさまでした』が何かって? ええとね、何だろう……。言われてみると難しいですねぇ。……ごちそうさま、これは多分食事を食べ終えたという報告で、それと同時に作ってくれた人への感謝の言葉なんですけど、でも私たち日本人は料理そのものに対する命への感謝を込めて『ごちそうさま』を使っているかもしれない。……つまり、美味しかったです、ありがとうってことかな」「へぇ、マージにはそんな意味合いの言葉はありませんので『ゴチソウサマデシタ』だけ翻訳されませんでした。でも、素敵な習慣かもしれませんネ。『ゴチソウサマデシタ』これ、マージにも広めたいと思いマス」「いいんじゃない? 流行るといいね」「ハイ!」 魔力丼大盛りを食べて魔力質をしっかり摂取したのでいよいよ次の街への移動をすることにした。(ワクワクするなー。瞬間移動。どんな感じなんだろう)「では、この星で一番栄えてる街まで飛びます。多分そこに私の相棒なら向かうはずですから。あの麻雀小説が飛んできた方角とも一致シマス」「なるほどね。ちなみに、歩いていくと遠いのかな?」「歩くと半日かかりマス」「よし、歩くのはやめときましょう」「ですネ。行き先はトウキョウほどではないですが、大都市ですので色々あって楽しいですよ。ではスノウ、そろそろ行きましょう。私にしっかりつかまっていてくださいネ」「はーい!」シュン!
117.第三話 魔力丼大盛りで「ちょっとー。スノウ! ひとりで行かないでくださいヨー。私の加護(バリア)が届く範囲から出ないでくだサイ」「あ、エル。ちょうどいい所に」「町から出る時は言って下サイ。外は危ないんだカラ」「危ない? モンスターでもいるの?」「ここは田舎なんで、普通にノラの動物たちがイマス。狩人でもないスノウが野生生物と遭遇したら最悪死ぬわヨ?」「えっ、そんな危険なの? でもそれならエルは大丈夫なわけ?」「こう見えて私には高度な性能のバリアがしてあるし武装もしっかりしてるからダイジョウブ」「武装? そうは見えないけど」「いまのこれは『見た目装備』だから。私の武装は見た目がゴツいから好きじゃないノ。最強装備をしているんだけどそれは隠してるってコト」「へぇ、なんかゲームの世界みたいね」「ゲーム?」(あっ、そっかあ。マージにはテレビゲームがないんだった。ていうかテレビもないもんね)「いやまあ、地球にはそういう魔法とか不思議な力の世界のおはなしがあるのよ。現実にはできないんだけどね」「でも、ジドウシャとかバスとかチキュウには不思議なものが多かったワ。マージにはないものばかりで心底驚いたんだカラ」(そっか、マージは魔法があるから科学は発達しなかったのかな。そう考えると魔法も良し悪しね)「あっ、そういえば私の前にいきなり現れたことあったわよね。あの瞬間移動みたいなので次の場所まで行くことはできないの?」「あー、アレねェ。私は時空超えて移動も出来るから次の街まで行くのも造作もないけど、それならご飯にしない? 私いま魔力量が少ないから魔力質になるご飯食べないトネ」(『魔力質』になるご飯……? 糖質とか脂質みたいなもんなのかな) 私たちは一旦また食堂に戻ってごはんにした。「すいません、魔力丼2ツ」
116.第二話 麻雀小説「エルー、エルー」「なんでスカ?」「そろそろ隣町くらいまでは探検したり、ミサトを探したりしたくて……歩幅がこれだとめちゃくちゃ時間かかるから人の姿に戻して欲しいんだけども。人間サイズの服ってどうやったら手に入るかな?」「うん? 服は姿を戻した時に人間時着てたものに一緒に変わりますヨ」「ええっ? 勘違いしてたー。私、服問題があるから戻してもらわなかっただけなのに。早く言ってよ、不便なのよ、もう」「ま、ま、なんにしても少し町を離れた所で変身解除した方がいいですヨ。この辺は本当にクリポンしかいなくて、私も少し目立ってるくらいだから。どこの誰? とか突っ込まれても面倒でショ?」 エルはもっともらしいことを言ってごまかした感じだった。多分、単に戻し忘れてただけだと思う。だってこの町はみんな優しいもん。いまさら私が姿変えたところで意地悪したり敵対したりするとは思えない。 その日の午後。 いつも通り私はみんなに麻雀を教えた。今日の生徒たちは優秀で『スジの概念』を完全に理解してくれた。「そうかあ、麻雀は456などの数字が連続した形(順子)が面子構成に1番効率的だからそれを作るための種として45などのリャンメン待ちを作ってくべきで、捨てた牌で待っている場合ロンは出来ないというルールをそこに加味すると切った牌の3個先はロンされにくいということになるのか~」「飲み込み早くて先生は助かります」 どういう事かというと メンツ構成は同じ牌3個で作るコーツと連続した数字で作るシュンツがあり、同じ絵柄の牌は4枚しかないので4枚中3枚自分で集めるコーツで勝負するのは完成率が低い。なので基本的にシュンツの作成で手を作るものなのだ。 そうなるとシュンツの種を作らな
115.ここまでのあらすじ 飯田ユキと井川ミサトは交通事故寸前で助けられ異世界へと転移する。しかし2人は別々の場所に飛ばされてしまった。 ユキは『スノウ』と名を変えて、自分は神様だと言う女『エル』と共にこの世界に麻雀を普及させる活動を行うことに。 一方ミサトは神様の相棒であるリス仙人『キュキュ』と共にユキを探す旅に出る。 【登場人物紹介】飯田雪(スノウ)いいだゆき主人公。井川ミサトと旅をしている最中に気付けば異世界へと飛ばされていた。本作品内ではスノウと名乗る。井川美沙都いがわみさと飯田雪の親友で麻雀の師匠。異世界に飛ばされてしまった。頼れるリスを相棒にしてユキを探す旅に出る。エル異世界の神様。世界をもっと良くするために麻雀の伝道師となる人物を地球から連れてきた。キュキュ異世界の仙人。知識豊富で使える魔法も多い少年。だが魔力を使い過ぎるとたちまち少年からリスになってしまうという欠点がある。ミサトの肩に乗りながら旅に同行する。その4第一話 伝説の巫女『ヨシエ』 ――約8年前。地球にて「はい、これ。ヨシエが欲しがってたスノウドロップの球根。私が負けたらあげる約束だからね、好きなだけ持っていっていいよ」「いいの? じゃあ持てるだけ持っていこう♪」
114.第六話 麻雀牌生成 ミサトの書いたエッセイ記事は読みやすい大きめな文字で1話2000字ほどにまとめ、それに麻雀牌の挿し絵を描いて創刊号は特別価格とし無料同然で配布することに決めた。まずは読んでもらえないと話にならないから。 そして、最後に ――この物語が面白いと思った方はこれを次の人に回してください。なお、こちらのファンクラブ登録をしてくださると次回作の完成通知を送らせていただきます―― と添えた。元々これをきっかけにして麻雀を広めるのが目的であって本の売り上げで儲けようという意図はないので人に回し読みされた方が都合がいいのだ。 とは言え、2話目からはもう少しお金を取るようにするが。「ミサト、頑張るねえ。仕事し過ぎじゃない?」「私は元からこうだから。出来ることはやる。怠けない。それが私の生き方なの」「って言ったってその疲れた身体で生成魔法使ってたら本当に気絶しちゃうからね」 実はミサトは生成魔法で少しずつ麻雀牌を作っていた。1日に2枚ほどのペースで、主に食後にすぐやっていたが最近では慣れてきたのもあり毎日4枚生成していた。「大丈夫大丈夫。鍛えてるから。私の体力は女流プロでもナンバーワンって言われてたのよ?」 そう言っていたが次の瞬間「あ…… あれ?」 ミサトはクラリと立ちくらみをした。「わわっ!」 よろけるミサトをサッと支えるキュキュ。「もう、いま僕がリス姿だったら大変だったよ。無茶しないで、今日の生成はやめなよ」「……そうね、筋トレして寝ることにするわ」「いや、すぐ寝
113.第伍話 ミサト、魔法を受け取る ミサトは書いていた。1日に2度ほど食事に出て、その帰りにキーボードのあるステージで演奏しておひねりをもらい。あとは宿でひたすら書いた。「ねえキュキュ、キーボードはどの街にもあるの?」「流行ったからねえ、多分どこでもある。よほど田舎ならわからないけど『街』と言えるくらいの都市ならあると思うよ」「ふうん、助かるわ。おかげで暮らしていける。にしても暑いわね。太陽らしき星はあんなに小さいのに……」「あとで服を買いに行こう。マージの気候に合った薄着を買った方がいいよ」「そうね」 マージの気温は日本より暑く、外で演奏する度にミサトは汗をかいていた。「ねえ、キュキュ。せっかくの異世界なんだから私も魔法とか使えるようになったりしないの?」 ミサトはこの世界で自分だけ魔法が使えないことに気付いたようだった。大なり小なりみんな魔法は使っている。子供でも魔力はあるようだった。「え? 必要ないじゃん。それとも何か魔法でやりたいことでもあるの?」「ちょっとね、欲しいものがあって」「それなら買えばいい」「売ってないのよ、この世界には」「なるほど、生成の魔法を使いたいんだ? それなら僕の手持ちの魔法だからあげてもいいけど、でもあれは大魔法の部類に入るから使うとかなり疲れるよ」「あげてもいいって…… 魔法って譲渡できるの?」「うん、この半透明のシールを貼れば大丈夫。そっか、ミサトは知ってるわけないよね。魔法はね伝授することもできるけど、基本はシールで売ってるんだ」







